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最近読んだ本(2005年)

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話せぬ若手と聞けない上司 山本直人氏 著者は博報堂で若手育成などを担当してきた人で、今の若者を会社という立場から観察し、接してきた経験を踏まえた”若者論”である。「ケータイ世代の脆さ」では、携帯電話の普及によって、知らない人と接する機会が減り、肌の合わない人と話をする機会が減ったと指摘する。「未来検索の呪縛」では、何をするにも予約、予約、予約・・・で、予定をキッチリ立てないと何もできないことが多いと指摘する。なかなか面白い視点だと思う。
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上司の哲学 江口克彦氏 故松下幸之助氏の側近として二十年以上仕えてきた著者が、”松下”教の伝道者として仕事とは何か、という大きなテーマについて語っている。経営発展の要因には、目に見える要素と見えない要素の二つがあり、前者が四で、後者が六くらいの割合が好ましいと言う。”指示をして説得し納得させるまでは簡単だ。しかし、共鳴させ感動させ、実行してもらうことは難しい”−確かにそうだろう。ただ、今の時代、多くの人が”夢”を見失っている中で、松下氏が存命であれば、どのような教えを説いてくれただろうか?
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上司が「鬼」とならねば部下
は動かず
染谷和巳氏 かなり乱暴な話であるが、乱暴であるが故に興味深いところもなくはない。「一頭のライオンに率いられた百頭の羊の群れは、一頭の羊に率いられた百頭のライオンの群れに勝つ」という西洋の諺が冒頭に引用されている。とにかく、”勝つ”ということがキーワードである。何に”勝つ”のか、”勝てば何があるのか”−という疑問に対する答えは脆弱である。”勝つ”ために”勝つ”という印象だけが残る。古い考え方だと切り捨てるのではなく、そういう考え方もあると受け入れるべきのだろう。 
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時生 東野圭吾氏 時間旅行という手段を使って、父親とその息子の交流を描く。息子は遺伝性の難病のため、若く
して命を落とすことになる。”時生は死ぬんじゃない。新しい旅に出るんだ”と父親が妻に語る−
その旅が物語となっている。凡人には作者の意図が読み取れないストーリー展開である。いった
いこれが本筋とどういう関係があるんだ? と思いつつ読み進めても解決されることはなかった。
同じ作者の『秘密』の方が面白い。
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半落ち 横山秀夫氏 「人間五十年 下天のうちを比ぶれば 夢幻のごとくなり」とは、織田信長が敦盛を引用して使っ
た言葉だ。嘱託殺人に問われた元警察官である主人公は、この50年に拘った。恩返しのため
の「人生50年」である。殺人実行日から二日間を経過して、自首。その二日間の行動を黙して
語らない。ラストで意外な真実が明かされることになる−凡人では考えたこともない心理である。
重く、深い、思索に裏打ちされた読み応えのある一冊となっている。
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隣りの成果主義  溝上憲文氏 ”成果主義”が流行っている。本書は100社を超える上場企業への取材をもとに、その症例と効
能と、副作用について教えてくれる。東大の高橋教授による『虚妄の成果主義』にある”日本型
年功制復活のススメ”などあり得ないと断じ、”成果主義”が消え去ることはないと言う。ただし、
これがベストだという”成果主義”はないとも言う。わかりやすい、誰もが納得しやすい、そして企
業経営に貢献できる”成果主義”をみんなが探し続けている−”企業とは何か?”という根源的な
問題に立ち戻って考える必要があるように思う。
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キャピタルダンス  井上尚登氏 超高速検索エンジンと分散コンピューティングを武器にした「タコボール」という奇妙な名前の会
社を巡る買収劇。会社を作って、上場して、株を売り払って、利益を得て、おしまい、というマネー
ゲームではないところでの”想い”を持つ女性経営者の話。「ビルゲイツを振った女」という設定も
面白い。お金儲けが好きな人と、そうではない”夢”を実現させようとする人がいる。どちらか一方
では調子が悪いのだと思う。会社自体も両方あった方が面白いと思う。
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顔 FACE 横山秀夫氏 横山秀夫氏の著作にはハズレがない。これは似顔絵婦警を主人公にした警察小説である。心
の葛藤を表現しているところに面白さを感じるのかもしれない。あるとき、主人公は犯人とは全く
別人の似顔絵を描いたが、似顔絵を発表する前に犯人が逮捕された−警察組織は、主人公に
捕まった犯人の似顔絵を書かせて、世間に発表した。”お手柄婦警”の捏造である。主人公の心
の葛藤はいかばかりか−想像するに難くない。 
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ブリヂストンの光と影 木本嶺二氏 ブリヂストンの創業者である石橋正二郎の哲学は「国のため」であったらしい。資源のない日本
は外貨を稼ぐために事業を発展させるしかないという使命感に溢れていたという。好きな言葉は
「熟慮断行」。その行動を裏付けるのが「先見性」と「合理性」。正二郎の「合理性」が全社員の
背番号制を採用した。1」は正二郎、2」は息子の幹一郎で、常務級は2桁。社内の会話でも、”
3番がそういっているから、5番は賛成だろう”となるらしい。全体としては、ややゴシップネタの
多い感が残る。
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虚貌(上・下) 雫井脩介氏 「虚貌」という言葉は手元の辞書には見当たらないが、「うそ・いつわりの顔のかたちや姿」という
ことなのだろう。普通に考えると、多重人格者を思い浮かべてしまうが、ここではそうではない。
解説で福井晴敏氏は”本作のトリックを用いれば、事実上どんな不可能犯罪も可能になる”と記
している。やはり、掟破りの感は否めない。”これがエンターティンメント小説の最前線だ!”とい
う帯広告は少々怪しいキャッチコピーである。惨殺事件の加害者と被害者、末期ガンを患う刑事
とその娘を中心に物語は展開する。
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時の渚 笹本稜平氏 2001年のサントリーミステリー大賞受賞作。”息子を探して欲しいんだよ”という老人のセリフか
らスタートし、”家族の絆”をテーマにしながら、意外な結末へと展開していく。冒頭でその老人か
ら依頼を受けた私立探偵は、なかなか”真実”には辿り着けない。これが”真実”だと思わせてお
きながら、次の展開がある。なかなかよく出来た物語である。”一緒に過ごした月日”か、あるい
は”血の繋がり”か−テーマ自体の目新しさはないものの、これはきっと永遠のテーマなのだろう
と思う。
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終戦のローレライT〜W 福井晴敏氏 やっと読み終わった−太平洋戦争をを題材に使っているせいか、とても重い。戦争末期、日本再
生のためにどう戦争を終結させるべきかについて、徹底的な破壊をしなければ再生はないと唱え
る大佐がいた。破壊とは日本自身の破壊である。軍隊にもそれに同調する人とそうでない人が
いた−主人公である潜水艦の艦長はどのような決断を下したのか? エンタテイメント系であり
ながら、いろいろと考えさせてくれる小説である。これだけの大作を書くことのできる作者には脱
帽である。
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子どもが育つ魔法の言葉 ドロシー・ロー・ノルト
巻頭に「子は親の鏡」という題の詩がある。皇太子殿下がいつぞや記者会見で紹介した詩であ
る。”けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる。とげとげした家庭で育つと、子どもは乱
暴になる。不安な気持ちで育てると、子供も不安になる。・・・・・” この本はその詩の1フレーズ
ずつに筆者がエピソードを加えて、解説をしたものである。けなしたり、怒ったり、無視したりして
も何の効果もなく、誉めて、励まして、認めてあげるのが大切だと言う。それは何も子どもに限っ
た話ではないと感じた。
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株とは何か 奥村宏氏 初版が1988年であり、ほぼ20年前の本だ。その当時とは状況が変わっているところも多々ある
ような気がするが、筆者が執拗に繰り返し主張していることは変わっていないのだろうと思う。日
本の株式市場は、いわゆる”市場”ではないということだ。企業による株式の持ち合いの結果、
需給調整が正常に機能せず、少数の市場に回る株が投機の対象になってしまうという。理論的
には、株価は基本的には配当利回りによって決定するものらしい−たしかにそんな風に思ってい
る人は少ないし、現実的にはそうではないだろう。 
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天国で君に逢えたら 飯島夏樹氏 末期ガン患者である作者自身のドキュメンタリーをテレビで観て、興味をもって読んだ。ガン患者
ばかりの病院で、”手紙屋”を始めた見習い医師を主人公にガン患者の心模様にフォーカスを当
てる。至るところにご本人のものと思われる心情を吐露するところがあるものの、一応、フィクショ
ンであり、小説だ。照れがあるのだろうか−私小説の形態とした方がストレートな思いが表現で
きるのではないかと感じるところがあった。
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ロシア幽霊軍艦事件 島田荘司氏 いくつかの史実をベースにした小説である。ロシアのロマノフ王朝にニコライ二世という人がいた
(実は、この人は1891年に日本に来て、刃傷事件に遭っている)。日露戦争に負けた後、191
8年、二月革命で惨殺された。このとき、一緒に殺されたとされている皇女アナスタシアを主人公
に設定している。アナスタシアはどうやって生き延びたのか、生き延びた結果どうなったのか、こ
の辺りは作者の創作であるが、うまく日本という国を絡めながら、物語を構築している。
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稲盛和夫の実学 稲盛和夫氏 京セラの創業者である稲盛和夫氏が会社経営の要諦を会計の視点で綴った書。タイトルには”
実学”とあるが、学問というよりは教訓というような感じである。伝統・文化に対しても、おかしいこ
とはおかしい(Ex.減価償却期間)と言い、納得できる形でないと受け入れない。その一方で、
なるほどという規則については徹底的に守る(Ex.1対1の原則)。これらを本当に今でも、京セ
ラのような大きな会社で100%実践しているとすれば、それはやはりスゴイことだと思う。
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自由という服従 数土直紀氏 帯広告には、”なぜ人は権力に従ってしまうのか?−それは誰もが「自由」だからです”、とあ
る。自由だから服従するという面白い論理展開だ。色々な選択肢の中から、ひとつを選ぶとき、
自分自身が他者のこころ/権力を慮って、”規制”をかけて、結果的に”服従”してしまう。当たり
前じゃないか−という思いもなくはない。「自由」にもいろいろなレベルがあるのかもしれない。1
00%「自由」だとすると、社会の中で生きていくのは一苦労だと思う。
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天空の蜂 東野圭吾氏 ”子供は刺されて初めて蜂の恐ろしさを知る”という犯人の言葉で、表題である”蜂”の意味する
ところがわかった。原子力発電所の真上でホバリングする超大型ヘリコプターという尋常ではな
い設定の話である。ここまでであれば、ダムを爆破するというような似たような話もあるが、強烈
なメッセージ性の有無が異なる。”沈黙する大衆”は刺されてみないと、その恐ろしさをわかろう
としない・・・作者の嘆きが聞こえるようだ。
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富豪刑事 筒井康隆氏 最近、テレビドラマでやっているらしい(観たことはない)。トンでもなく大金持ちのお坊ちゃまが刑
事をやっているというかなり奇抜な設定だ。一応、推理小説の形をとってはいるものの、半分以
上は著者が面白がって書いているという印象だ。ただし、悪くはない。金持ちもここまでになると
嫌味もない。実際、お金の使い道に困っている人は大勢いるんだろうなぁなどと、全く筋とは関係
のないことを考えてしまう。
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蒼穹の昴(1〜4) 浅田次郎氏 中国清朝時代、10代同治帝と11代光緒帝の時代を舞台とする。西大后慈禧は9代皇帝の側
室だったが、この時代に権力者として君臨する。物語は春児(チュンル)という糞拾いの少年が、
科挙を受ける文秀(ウェンシウ)とともに都に上るところから始まる。科挙、宦官について詳しく語
り、西大后を取り巻く権力闘争を描く。日本は中国から様々なことを学び、取り入れたが、科挙と
宦官はない。賢明な判断だったように思う。とにかく、すさまじい。
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