バナーOGAWA−Tei
最近観た映画(2003年)


タイトル 監督/主演 製作

/国
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NO
★★ いぬ ジャン・ピエール・メ
ルビス
ジャン・ポール・ベル
モント
セルジェ・レジアニ
1963
フランス映画はまたしても暗い。原題はLE DULOS(デュロス)で苦悩という意味らしい。これが、”

ぬ”となってしまうのもよくわからない。ストーリーは難解である。誰が本当のことを言っているの
か・・
だからこそ、”苦悩”であると考えると妙に納得できる。”いぬ”とは警察への密告者だ。
149
★★★ スパイ・ゲーム トニー・スコット
ロバート・レッドフォー

ブラッド・ピット
キャサリン・マコーマ
ック
2001
いろいろなところに小さな伏線があるストーリーは楽しい。”28万2千ドル”は賄賂の額であると
同時
に、南の島の一軒家の値段だ。CIA長官のサインは、永年勤続表彰の証であると同時に、極秘
命令
の権威付けだ。R.レッドフォード(すでにおじいさんの域に達している)が格好いい。一匹狼であ
りな
がら、子飼いの部下は命をかけて守ろうとする。
148
リスボン特急 アラン・ドロン
カトリーヌ・ドヌーブ
1972
フランス映画はやっぱり暗いのだ。銀行強盗をしでかした壮年達が逃げる。当然のように刑事が追う。どうやら、犯人のうちの一人と刑事は古くからの知り合いらしい。刑事は職務をまっとうする−その結末は少し哀しい。英語の題名はDirty Money。なぜか、邦題はリスボン特急。よくわからない。
147

エリン・ブロコビ
ッチ
スティーブン・ソダー
バーグ
ジュリア・ロバーツ
アルバート・フィニー
1999
巨大企業相手の公害訴訟に立ち上がった素人おばさん(なんて言うと演じているジュリア・ロバ
ーツに
失礼か?!)の痛快劇である。実話だそうだ。米国史上最高額の和解金300億円以上をゲット
してし
まったというおばさんはやっぱり偉い。でも、こういうタイプのおばさんが近くにいるとちょっと困る
という
のが正直なところか(^ ^;
145
★★ ウエディング・
シンガー
ジフランク・コラチ
アダム・サンドラー
ドリュー・バリモア
1998
ウェディング・シンガーとは、結婚披露宴で司会兼余興係といったところか。そのアダム・サンドラ
ーと
いう俳優がなかなかうまい。優しい男を演じている。飛行機の窓側の席は女性に譲るもの、とい
うわか
りやすいエピソードもお気に入りだ。お気楽ラブ・コメディ。
144
東京★ざんすっ 陣内孝則他 2001
日本
”東京の乗り物”をテーマに、7人の著名人が映画監督に挑戦したオムニバス・ムービーというふ
れこ
みだ。乗り物というテーマで、”体重計”は思いつかない。また、車椅子やエスカレータもちょっと
想像し
辛い。それぞれに、工夫を凝らしてあるが、全体としてはあまり楽しくない。
143
★★ マネー・トレー
ダー
〜銀行崩壊
ジェームス・ディアデ

ユアン・マクレガー
アンナ・フリエル
1998
原作は、イギリスの名門銀行ベアリングズを一人でつぶした男として有名なニック・リーソンの獄
中手
記である。金融先物という博打の世界で、名声を極めた彼は、損失の穴埋めをして、泥沼に陥っ
てし
まう。恐ろしい世界である。ただし、金融先物の知識がないと、その過程での恐ろしさがいまひと
つ伝
わってこないのが残念だ。
142
★★★ クール・ドライ・
プレイス
リジョン・N・スミス
ヴィンス・ヴォーン
モニカ・ポッター
1999
いわゆるヒューマン・ドラマというジャンルなのだろう。奥さんと別れ、幼い子を抱えた弁護士のお
父さ
んは、仕事と育児の両立をどう考え、どう実現するのか−就職の面談で、「法律事務所では週6
0時
間勤務は当たり前、私は70時間働きます」とそのお父さんは言ってしまう。子供は実家に預ける

か、別れた奥さんに渡すのか、それとも、・・・いい映画だと思う。
141
★★ ヴァージン・フラ
イト
ポール・グリーングラ

ケネス・ブラナー
ヘレナ・H・カーター
1998
身体障害者が登場する映画にありがちな”暗さ”はない。よくわからない無職の男と、よくわから
ない
車椅子の女のラブストーリーだ。男が自分で作った飛行機で、二人して空を飛ぶ。わけがわから
ない。
わかることは、二人とも”幸せ”そうだということだ。わけなんてわからなくても、それでいいという
ことも
ある。
140
★★ サラリーマン金
太郎
三池崇史
高橋克典
山崎努
1999
日本
ハチャメチャなストーリーではあるが、破天荒な金太郎にはこのくらいの舞台を用意しなければな
らな
いだろう。白紙入札などという裏技を見せてくれたり、関東八州連合による暴走シーンを見せてく
れた
り、”娯楽”に徹しているところがいい。最後が他力本願の”お裁き”となるところは、なんとか金
太郎に
解決して欲しかった(^ ^;
139
ネバーエンディ
ング・ストーリー
ウォルフガング・ペー
ターゼン
ノア・ハッサウェイ
1984
独・米
やっぱり、お子様向けであった。もう20年も前の作品である。最近のものと比べると、映像がち
ゃっち
い感じがするのは否めない。ストーリーはあんまりよく理解できないが、勧善懲悪を基本としてい
る。”
無(nothing)”と戦うことになるが、ドンパチはない。音楽は印象的であり、今もあちこちで聴くあ
の歌
だ。
138
★★ YAMAKASI リュック・ベッソン
ヤマカシ
2001
ヤマカシは実在する(した?)パフォーマンスグループらしい。映画の中でも、日本の”七人の
侍”、アメ
リカの”荒野の七人”を引用し、紹介する字幕があった。冒頭で、ビルをよじ登る七人の映像は圧
巻で
ある。ただ、ストーリーはイマイチで、心臓移植などという重いイベントを持ち出すチグハグな感じ
が気
になってしょうがなかった。
137
★★★ ショコラ ラッセ・ハルストレム
ジョニー・デップ
ジョリエット・ビノシュ
2000
ほのぼの系。ジブシーのように放浪を続ける母と娘。先々でチョコレート屋を始める。小さな村
は、伯爵
であり、村長である男が規律を重んじていた−特に抵抗するわけではないが、奔放な彼女達の
行動
は村長の気に触る。村民はどっちの味方か? 結末は想像通りであるが、それなりにテンポもあ
り、
飽きさせない。
136
★★ 風を見た少年 大森一樹
安達祐実
前田亜季
2000
日本
少年が、悪の権化である征服者と戦うというよくあるストーリーである。途中で、親しい人が殺害
され、
少年の気持ちは盛り上がる。わかりやすい展開である。原作が、ニコルさんであることもあり、”
自然”
に対する思い入れが感じられる。悪くはないが、やっぱり、お子様向けの映画である(^ ^;
135
スウィート・ヒア
アフター
アトム・エゴヤン
イアン・ホルム
サラ・ポ−リー
1997
カナダ
小さな村で起こったスクールバスの自損事故。バスの整備を行っていたのも住人、運転していた
のも
住人、被害にあった子供達も住人−そこに、”外”から弁護士が入ってきた。事故の真相究明は
住民
にとってどういう意味があるのか? 過失を暴き、責め立てることにどういう意味があるのか? 
小さな
村だからこそ、ドラマになる。ただし、画面も暗く、ストーリーも暗く、観続けるには根気がいる(^ ^;
134
★★ 奇跡の歌 マーティン・デヴィッド
ソン
アーマンド・マサンテ
ダイアン・ヴェノーラ
1998
栄光と挫折を知った男の再生の物語。子供と、昔の仲間と、恋人(奥さんは死んでいる)との交
流の中
で、前向きに過ごすようになる。人間にとって大切なのは、結局のところ”人”なんだよね、と言っ
てい
る監督の声が聞こえる気がする。全体的に暗さが漂うけれども、よく出来た映画だと思う。
132

日の名残り ジェームス・アイボリ
アンソニー・ホプキン

ジェームス・フォック
1993
その生涯を執事(butler)として生きた男の物語だ。ご主人様にすべてを捧げ、それを生き甲斐に

る。一切の”我”は捨てて、聞こえたことも”聞いていない”と言う。第二次世界大戦前後の英国
での貴
族政治を垣間見ることができ、非常に興味深い。一説には大人の恋の物語らしいが、それは瑣
末に
感じる。一人の男の生き方を描いている。
131

ドーベルマン ヤン・クーネン
バンサン・カッセル
モニカ・ベルッチ
1997
アクション映画だ。ギャング映画とも言えるかもしれない。警察とドンパチをするアウトロー集団が
主人
公だ。警察もほとんどアウトローであり、ちょっとした戦争映画とも言えるかもしれない。スカット爽
やか
と言った感じではないが、結構楽しめる。
130


ディープ・エン
ド・オブ・オーシ
ャン
ウール・グロスバード
トリート・ウィリアムズ
ミシェル・ファイファー
1999
ヒューマン・ドラマだ。幼子を誘拐された家族の痛みと、誘拐された子とは知らずに愛情豊かに育
てた
人とその子供。ひょんなことから、その子供と再会する実の親。その子供にとっての”幸せ”は、
育ての
親と暮らすことか、生みの親と暮らすことか−また、幼いながら、弟に向かって”Get lost”と言っ
てしま
った兄の葛藤もすさまじい。
129

スクリーム ウェス・クレイブン
ネーブ・キャンベル
ドリュー・バリモア
1997
このようなタイプの映画をスプラッターと呼ぶらしい。人間社会のルールや善悪の判断とは無縁
な殺人
鬼は恐ろしい。推理小説的に誰が殺人鬼なのかを考えながら観ることもできる。単なるホラー映
画と
は違うところがよい。よく観ると、この殺人鬼は少々オチャメなところがある。ハッキリ言って、あま
り”
強く”ないのだ(^ ^;
128
死国 長崎俊一
夏川結衣
筒井道隆
2000
ホラー映画らしいが、ゾクゾクするような怖さはない。また、気味悪さもない。八つ墓村のような奥
深い
背景もない。死者が蘇るという単純な展開に感じてしまった。ということで、映画自体はあまり楽
しめな
かった。ただ、四国には”結界”があり、それを”お遍路さん”とつなげて、”死国”と表現している
坂東
氏の原作には興味がある。
127

デトロイト・ロッ
ク・シティ
アダム・リフキン
エドワード・ファーロン
1999
KISS(本物のKISSも登場する)のコンサートに行きたい若者四人組が、様々な困難を克服し
て、夢
をかなえる。”はしか”のようにあること/ものに熱中してしまう時がある。ロックミージックもその
対象
のひとつだろう。あとから思うと何であんなに、思い入れていたのか、よくわからない。ただし、そ
の時
は本気だ。それ以外は見えない。これはひとつの”幸せ”の形なのかもしれない。
126


裏切り者 ジェームズ・グレイ
マーク・ウォルバーグ
ホアキン・フェニック
2000
笑いの要素は全くない。社会派サスペンスとでも言うのだろうか。仲間から裏切られた主人公
は、す
べてを公にする決意をする。身内を守るか、社会悪を糾すか、主人公は後者を選択する。実話に
基づく
ものらしい。アメリカでの汚職は日常茶飯事のようだ。また、”取引”という名の事実隠蔽も存在
するの
でさらに性質が悪いと言えるかもしれない。
125

バスを待ちなが
フアン・カルロス・タビ

ウラジミール・クルス
2000
キュー
キューバという場の設定がよい。少なくとも日本では発想できないストーリーだ。何時来るかわか
らな
いバスを、みんなで待っている。その時間をみんなで楽しむのだ。仕事を含め、しなければならな
いこ
とに縛られている人と、明日はわからないけど今を楽しむ人とどっちが元気なのかしらん。安定
(あるい
は安心)とは不自由を伴うものなのかもしれない。
124


クロッシングガ
ード
ショーン・ペン
ジャック・ニコルソン
デヴィッド・モース
1995
Crossing Guradとは交通整理という意味らしい。どっちに進むべきかの分岐点を暗示する。事故
の加
害者と被害者の父親の両者が、その事故で失われた命の重さに苛まれる。母親が”娘は帰って
こな
い”と事故のことを忘れようとするのに対して、復讐に燃える父親は”恐ろしい”。ジャック・ニコル
ソンと
デヴィッド・モースの”戦い”の果てにあるものは?−お互いに現実を受け入れるしかない。
123

アタック・ナンバ
ーハーフ
ヨンユット・トンコント
ーン
チャイチャーン・ニム
ブーンサワット
2000
タイ
予算は全部で3千万円だったそうだ。それでもタイで大ヒット。”おかま”ちゃん達がバレーボール
を一
生懸命する話だ。彼ら(彼女ら?)は、試合中も化粧をしないと力を出せない。これを許容できる
か/す
るか−は難しいところだ。”おかま”ちゃんの人権を認めましょう、という啓蒙的要素が濃くないと
ころが
いい。ちなみに、この映画は実話に基づくものらしい。
122
ジュエルに気を
つけろ
ハラルド・ズワルト
リヴ・タイラー
マイケル・ダグラス
マット・ディロン
2001
リヴ・タイラーが主演しているというだけのドタバタ劇。彼女の父親はロックバンド”エアロ・スミ
ス”のス
ティーブン・タイラー、母親はトップモデルとして活躍したベベ・ビュエル、と言われても全く知らな
い(^
^; 三人の男(プータローに、弁護士に、警察官)が彼女の虜になる。最後に笑うのは、正体不明
のマイ
ケル・ダグラスだ。
121

金髪の草原 犬童一心
伊勢谷友介
池脇千鶴
2000
日本
肉体は80歳、精神は20歳という日暮里さんと、彼の世話をするヘルパーのなりすの交流を描
く。お気
に入りのほのぼの系であるが、ほのぼのし過ぎてパンチが足りない気がする。日暮里さんの昔
をもっ
と見てみたい。原作には昔の友人との交流が多く描かれているらしい(映画ではちょっとだけ)。
大島
弓子氏の原作を読んでみようと思う。
120

ブラックレイン リドリー・スコット
マイケル・ダグラス
アンディ・ガルシア
松田優作
高倉健
1989
昔、観たことがある。が、しかし筋は全く覚えていなかった。松田優作は格好いい。日本を紹介す
るた
めか、空手、剣道、ゲイシャ等があまり意味もなく登場する。ブラックレイン(”黒い雨”)というタイ
トルも
少々強引だ。ハリウッド流極道映画といった感じ−こうして、国のイメージは作られてしまうのか
しらん
と思わざるを得ない。
119

オスカーとルシ
ンダ
グリアン・アームスト
ロングレイフ・ファイン

ケイト・ブランシェット
1997
共通点が博打好きである牧師と女性実業家の二人が主人公だ。舞台は古き時代のオーストラリ
ア。
移住した白人と先住民族の関係をさりげなく描きながら、オーストラリアの美しい自然を背景に話
は進
む。ガラス工場を買収した実業家は、「ガラスの教会」を作ることを決意する。西欧人の生活の中
での”
神”の大きさを改めて感じさせる。
118

GO 行定勲 
窪塚洋介
柴咲コウ
2001
日本
在日韓国人と日本女性の恋における”国籍”の違いを巡る葛藤を描く。”俺は何人だ?”と自問す
る彼
は、”俺は俺だ!”というひとつの結論に達する。民族学校(朝鮮学校)の構内風景を描いている
ところ
はとても興味深い。日本語を使ったことで、教師に殴られる生徒の言い訳がいい。ニュアンスをキ
ッチ
リ伝えるためには他国語に訳せないこともある・・・
117

マイ・ネーム・イ
ズ・ジョ
ケン・ローチ
ピーター・ミュラン
ルイーズ・グッドール
1998
人を助けるために、悪に手を染めなければならないというジレンマにおける主人公の葛藤を描く。
ギャ
ングの世界だ。ひとつの悪は連鎖し、増長する。とすると、ひとつの善のための、ひとつの悪とい
う図
式にはならないのだろう。。。じゃあ、どうすればよいのか? 難しいし、”正解”などない。だか
ら、ドラ
マになる。
116


未来は今 ジョエル・コーエン
ティム・ロビンス
ポール・ニューマン
1994
お気軽映画だ。Hudsuckerという会社の社長が突然、死んだことに端を発する、その経営権を巡
るドタ
バダ劇。田舎から、出世を夢見て都会に出てきた若者は、ビギナーズ・ラック(?)で大当たりし、
有頂
天になる。慢心は若者をどん底へと突き落とす・・・そこに、おじさん天使が出現し、時計を止めて
くれ
る。
115

地上<ここ>よ
り何処かで
ウェイン・ワンノ
スーザン・サランドン
ナタリー・ポートマ
1999
勝手気ままなママとその娘。田舎暮らしが嫌で、都会に飛び出していくママにその娘は強引に
同行さ
せられてしまう。奔放なママに愛想をつかす娘。想定できる結末は、二人して田舎に戻るか、一
人だ
け戻るか、あるいは二人とも戻らずに一緒に暮らすか、それとも・・・・。人はいろいろなものに縛
られて
いる。逃れるか否かは本人次第ということか。
114


アメリカン・ヒス
トリーX
トニー・ケイ
エドワード・ノートン
エドワード・ファーロン
1998
黒人蔑視のグループのリーダだった兄とその弟。3年間の刑務所暮らしで考え方をすっかり変え
てし
まった兄と、兄のいない3年間に兄と同じ道を進みかけていた弟の葛藤を描く。”怒りからは何も
生ま
れない”という言葉が印象的だ。エドワード・ノートンが格好いい。
113

恋のためらい 
フランキ
ーとジョニー
テレンス・マクナリー
アル・パチーノ
ミシェル・ファイファー
1991
アル・パチーノが恋に生きる男を少し軽薄に演じる。真相はわからないが、イタリアにはこの手の
男が
多いと聞く。最初は見向きもしなかったミシェル・ファイファーだが、次第に心を奪われていく。この
過程
がスッキリしない。まあ、色恋ざたとはそういうものかもしれない。
112
陰陽師 滝田洋二郎
野村萬斎
真田広之
小泉今日子
2001
日本
とにかくCGが安っぽくていただけない。「呪い」や「もののけ」を描くには、スケールが小さく残念
だっ
た。コメディでもなく、スリラーでもなく、ドラマでもない。すべてが野村萬斎の引き立て役。それを
最初
から狙っていたとすると、それはそれでスゴイことだ。
111


ビヨンド・サイレ
ンス
カロリーヌ・リンク
シルビー・テスチュー
ハウィー・シーゴ
1996
耳の不自由な両親と音楽家を目指すその娘。あまりにもわかりやすい対比の構造であるが、な
かな
か面白く仕上がっている。このオヤジがまた、わかりやすい。”音楽なんて”と理解しようともしな
かった
(まあ、いろいろな理由はあるが)が、娘の熱意に打たれ、最後には”理解”する・・・
110

ラブ・アンド・ウ
ォー
リチャード・アッテン
ボロー
サンドラ・ブロック
クリス・オドネル
1996
文豪ヘミングウェイが従軍記者として戦場に赴いたときの実話らしい。従軍看護婦に戦地で恋を
する。
ここが理解できないところだが、その看護婦もまた若造のちょっと変わったヘミングウェイに恋を
する。
戦争が終わってからの、その恋の行方が主題だ。ヘミングウェイという人は相当に頑固な人だっ
たよう
だ。
109


ア・フュー・グッ
ドメン
ロブ・ライナー
トム・クルーズ
ジャック・ニコルソン
デミ・ムーア
1992
コードレッドという軍隊における暗黙の規則を巡っての裁判。絶対服従の軍隊にあって、上官の
命令に
よって、人を殺めた場合、それは罪に問われるのか−小細工と証拠隠滅と権力によってその罪
を逃れ
ようとする上官を、被告側弁護士のトム・クルーズが追い詰める。なかなか迫力のあるシーンだ。
108


いまを生きる ピーター・ウィアー
ロビン・ウィリアムズ
イーサン・ホーク
1989
全寮制の進学校を舞台にし、人としての教育をしようとする一人の教師と、進学するための教育
をしよ
うとする校長および親たちの間で、板ばさみとなる若者の行動を描く。金八先生を問題解決型の
実務
家だとすると、このロビン・ウィリアムズ先生は思想家なのかもしれない。実務的にはやや難あり
という
印象が残る。
107


ファイヤーライト ウィリアム・ニコルソ

ソフィー・マルソー
スティーブン・ディレイ
1997
英・仏
”Firelight”とは暖炉の光という意味らしい。古い時代のイギリスの冬が舞台なので、暖炉は必
須アイ
テムだ。その明かりは、主人公の心模様を写しているかのようだ。ソフィーマルソーがちょっと陰
気な主
人公をみごとに演じている。Governess(女家庭教師)となり、自分の子供に”躾け”を行うシーン
は迫
力がある。
106


陽のあたる場
マイケル・ウィルソン
モンゴメリー・クリフト
エリザベス・テイラー
1951
半世紀以上前の映画だ。題名はこれまでに見たり、聞いたりしたことがあったが実際に観たの
は初め
てだ。いい映画だ。キリスト教の影響を強く感じる。殺人の罪に問われた主人公に対して、”あな
たは
心の中で罪を犯していたのです”と言い切る牧師(あるいは神父)の言葉が印象的だ。それを聞
いて
納得する様子の主人公の姿も心に残る。
105

好きと言えなく
マイケル・レーマン
ジャニーヌ・ギャロフ
ァロ
ユマ・サーマン
1996
お気楽なラブ・コメディ。頭はいいけどチブでブス(という設定)の主人公と、頭は悪いけどスタイル
のい
い美人の友人という極端すぎる対比の設定からしてコメディである。これは、ニューズウィークの
表紙を
飾る女性と、プレーボーイ誌の表紙を飾る女性というわかりやすい対比につながる。頭がいいと
か悪い
とか、見かけがいいとか悪いとか、そんなことは些細なことだと言いたいのだろう。
104

リアル・ブロンド トム・ディチッロ
マシュー・モディン
キャサリン・キーナー
1997
ある意味で一生懸命に生きている男を描く。あくまでも”ある意味で”なので、普通の感覚の人が
見る
とコメディということになるのだろう。売れない俳優の主人公は、売れることを夢見ながら、日々の
生活
のことも少しは考えながら、女性に対する興味と関心も失わない。悪くはないが、良くもない。
103
トゥー・デイズ ジョン・ハーツフェル

ダニー・アイエロ
ジェームズ・スペイダ
1996
ひょんなことから殺人容疑をかけられてしまった主人公が、二日間逃げ惑う姿を中心に、いくつか
のエ
ピソードを絡めて、ストーリーは展開する。北朝鮮のスパイが出てきたり、冷徹な殺し屋が出てき
たり、
ギャングのような風貌の主人公が実は大の犬嫌いだったり、楽しめる部分はあるが、全体として
はあ
まり印象に残らない映画だ。
102

ブロンクス物語 ロバート・デ・ニーロ 1993
ある種のギャング映画だ。”好かれるよりも恐れられる方がいい。でも、嫌われてはダメだ”という
ボス
が治める街。ここでは外部との関係を絶つことにより、内部での”安心”を維持している。正直に
犯人を
指摘しないのも、”安心”を維持するための知恵だ。ただし、外部を排除し続けたことが最後には
ツケと
して回ってきてしまう。いろいろ考えさせるイイ話だ。
101

キング・オブ・コ
メディ
マーティン・スコセッ

ロバート・デ・ニーロ
ジェリー・ルイス
1983
ロバート・デ・ニーロ主演の20年前の作品だ。コメディアンになることを夢見る男が、厚かましく、
ずうず
うしく、向こう見ずな手段でその夢を実現する様を描く。終りよければすべて良し、と考えるとこん
な幸
せモンはいないだろう。人間を突き動かす原動力として、”夢”に勝るものはないってことか。
100
姉のいた夏、い
ない夏
アダム・ブルックス
キャメロン・ディアス
ジョーダナ・ブリュ―
スター
2000
1970年の初め、アメリカでは反戦運動が高まり、多くの若者が”革命”を叫んでいたようだ。最
後に
は自ら命を絶ってしまったキャメロン・ディアス演じる”姉”が、どこで何をし、何を思っていたのか、
を探
るためにその妹が旅立つ。裏切り、失望、そして絶望。時代がそうだったのか? なぜ、”姉”は
そこま
で熱くなったのか、残念ながら伝わってこない。
99


ビューティフル サリー・フィールド
ミニー・ドライヴァー
ハリー・ケイト・アイゼ
ンバーグ
2000
お好みのお気楽映画だ。途中で、エンディングまで読めてしまうお気楽さが好きだ。わかってい
ても見
入ってしまう。こういうストーリー展開は”水戸黄門”的とでも言うのだろうか。ミスコンテストに命を
賭け
る女性と、それを支える友。ミスコンの最終選考会で彼女が選んだ道は? −わかっていてもカ
ッコい
いシーンである。
98

ピンポン 曽利文彦
窪塚洋介
ARATA
2002
日本
ARATAという俳優がいい。心優しきニヒルな若者を演じているが、嫌らしくなく、さりげない感じ
がい
い。”卓球なんて、死ぬまでの暇つぶしさ”と言い放ち、”やめちまえ”とコーチに叱られると、”じ
ゃあ、
やめます”と本当にやめちまう。脳天気な主人公とは対照的。だけど、仲良し。こういうのが友達
っても
んかもしれない。
97
あした吹く風 塩田明彦
天海祐樹
杉本哲太
田島有魅香
2003
日本
舞台は昭和44年。主人公は小学校5年生。”知っている”時代設定のはずであるが、ピンと来な
い。
東京と田舎の違いなのか・・・映画の中で”家族の絆”の象徴のように扱われている卓袱台は本
当に
象徴だったのかしらん。懐かしいと感じる前に、ちょっと違うんじゃないかなぁ、という印象が残っ
てしま
った。中途半端に知っていることはよくないことのようだ(^ ^;
96
ラブ・レター 石橋冠
西田敏行
金子賢
2003
日本
原作は浅田次郎氏の「鉄道員」。大手商社に勤めていた主人公は、セクハラの汚名を着せられ
て、リ
ストラに遭う。”裏”社会に足を踏み入れ、中国人女性と偽装結婚するハメに。彼女からの手紙を
きっ
かけにして、思いを寄せていく主人公を描く。ただし、この設定事態をあり得ない!と感じてしまう
とつ
まらない映画となる−残念ながら、つまらなかった(^ ^;
95

エリザベス シェカール・カプール
ケイト・ブランシェット
ジェセフ・ファインズ
ジェフリー・ラッシュ
1998
英・印
大英帝国の礎を築いたエリザベス女王の物語である。重厚な映像に圧倒される。”I don't like a
war”
と言って民の平和を願っていた若き女王は、民の平和のために、時には鬼にならなければならな
いこ
とをやがて知る。アマチャンの為政者から、真の為政者への変遷を、その風格・態度で表現する
ケイ
ト・ブランシェットは上手な俳優さんである。
94

ギフト サム・ライミ
ケイト・ブランシェット
キアヌ・リーブス
2000
霊能者である主人公がある”事件”に巻き込まれる。検察側の証人として出廷して証言するも、
自らの
意に反して、犯人が特定され、有罪になってしまう。そこで、自らの手で真犯人を突き止めること
を決
意する。この映画を観て、キアヌ・リーブスが男性であることを初めて知った(^ ^;
93


私の愛したギャ
ングス
ター
サディウス・オサリヴ
ァン
ケヴィン・スペイシー
リンダ・フィオレンティ
ーノ
2000
英国版「ルパン三世」って感じだ。お気軽に楽しめる。それでいて少しだけ、考えさせるところが
ある−
こういう映画はお気に入りだ。失業保険をもらいながら、銀行強盗をしたり、絵画を盗んだ
り、・・・。ギャ
ングであるが、悪徳ではない。ねずみ小僧次郎吉的な設定もよい。また、ルパンと違って、家庭
を大事
にするところも興味深い。ケヴィン・スペイシーが格好いい。
92


グリーン・フィン
ガーズ
ジョエル・ハーシュマ

クライブ・オーウェン
ナターシャ・リトル
2001
実話に基づくストーリらしい。英国の刑務所で、”労働”のひとつにガーデニングを採用し、これが
驚くほ
どの成果をあげ、ハンプトンコートで開催される英国のガーデニング大会に出場する。主人公が
出所す
る際の面接で、”I'm agardener"と答えるシーンが印象的だ。本物の職人は美しい。ちなみに、
題名の
Green Fingersとは天才園芸家という意味らしい。
91
マイ・スィート・
シェフィー
ルド
サム・ミラー
ピート・ポスルスウェ
イト
レイチェル・グリフィス
1998
鉄塔のペンキ塗りをアルバイトで引き受けた男たちを描く。鉄塔が立ち並ぶシーンは印象的では
ある
が、主人公の年寄りと、突然現れたバックパッカーの女性が恋に落ちるところは全くいただけな
い。”
なぜ? どうして?”との思いが残るばかりで、それ以降はつまらない。
90
リメンバー キム・ジョングォン
キム・ハヌル
ユ・ジテ
2001
韓国
これまた、「ターン(No86)」と同じく、時を駆ける話だ。「ターン」では、たまたま電話が通じるとい
う設
定だが、ここではアマチュア無線が繋がるという設定だ。また、前者では半年前の過去と通話す

が、ここでは20年前との通話である。未来を知ることの”不幸”を感じさせる。未来はわからない
から
面白いと思わずにはいられない。
89

偶然の恋人 ドン・ルース
ベン・アフレック
グウィネス・バルトロ
2000
全く知らなかったが、B.アフレックとG.バルトロウはともにとても有名な俳優らしい。ラブ・コメデ
ィとい
うジャンルなのかもしれないが、ビジネスシーンを絡めた展開は新鮮だ。広告代理店の辣腕営業
マン
はとてもささいなことから、大きな出来事に巻き込まれ、恋に落ちて、仕事を失う。その行動に非
はな
い。”偶然”の産物である。
88

ターン 平山秀幸
牧瀬里穂
中村勘太郎
2001
日本
時を駆ける話としては、K.グリムウッドの「リプレイ」が有名なところだが、ここでの設定は毎日毎
日、昨
日に戻るというかなりすさまじい設定だ。そんな中でも、一生懸命”生きよう”とする主人公にフォ
ーカス
を当てている。誰もいない都心の映像と、誰もいないところでもちゃんとお金を払う主人公が印象

だ。。
87

めぐり逢えたら ノラ・エフロン
トム・ハンクス
メグ・ライアン
1993
原題は”Sleepless in Seattle"。雨の街シアトルで、哀しみで眠れぬ夜を過ごしている妻を亡くし
た主
人公と、そんな彼を痛々しく思っているその息子。息子は自分の信じるところをわかってくれない
父親
に向かって叫ぶ、"I don't care of you"。流れの中でなんと訳すか難しいところだが、”パパな

か・・”と字幕にあった。上手いもんだ。。。その息子の直感は正しかった。
86
ルル・オン・ザ・
ブリッジ
ポール・オースター
ハーベイ・カイテル
ミラ・ソルビーノ
1998
中年男の夢物語。トランペット奏者の主人公の中年男は思わぬ事故に遭い、音楽家生命を絶た
れて
しまう。そこに、現れた麗しき若き美女。中年男は若き美女と恋に落ちる。この辺りで、ウソだろ
う・・・
って気になる。訳のわからない”石”とそれを追っている訳のわからない”博士”が登場すると、も
う耐え
られない。最後まで観ちゃったけど・・・最後は、これまた、いただけないどんでん返し。
85
漂流街 三池崇史
TEAH
ミシェル・リー
及川光博
2000
日本
馳星周氏の同名小説を映画化したもの。数年前に本を読んだときにはもう少し面白かった印象
がある
が、映画はイマイチだ。2時間という枠の中で分厚い一冊を映像化することは難しいのだろう。埼
玉県
警のパトカーがおよそ日本とは思えない荒野を走って、ヘリコプターに襲撃される冒頭シーンから

て、残念ながら興醒めである。
84

ダウン・バイ・ロ
ジム・ジャームッシュ
ジョン・ルーリー
トム・ウェイツ
1986
独・米
全編モノクロで、No82と同じパターン(同じ監督、同じ主演)。これまた”お気楽”に生きている
人々を描
く。”お気楽”であるが故に、不運に見舞われることも多い。不運にも刑務所に入ってしまっ
た・・・”お
気楽”であるが故に、めげたりしない。意気投合した三人で脱走する。”お気楽”であるが故に、
行き先
などない。でも、ちゃんと(?)生きている。
83

デンジャラス・
マインド
卒業の日まで
ジョン・N・スミス
ミシェル・ファイファー
1995
米国版”金八先生”。原作は、”ルアン先生には逆らうな”という小説らしい。落ちこぼれクラスの
担任と
なったルアン先生と生徒達の心の交流を描く。ストーリーとしては、お決まりのパターン。お決ま
りのパ
ターンが故に、安心感がある。生徒達の気を引く道具として、”空手”を使い、勉強の道具として、

ブ・デュランの”詩”を使う辺りは米国流と言えるかもしれない。
82

ストレンジャー・
ザン・パラダイ
ジム・ジャームッシュ
ジョン・ルーリー
エスター・バリント
1984
独・米
全編モノクロで、ワンショット。基本的にカメラは動かない。シーンが変わるたびに、画面は真っ黒
にな
る。風変わりな作品だ。ニューヨークに住むハンガリー人の心情など知る由もないが、ここがポイ
ントな
のだろう。ハンガリーから従兄弟がやってきて、悪友とともに三人で旅をする。ハンガリー語を忌
み嫌

(?)、英語で話すように強要する。
81

ストレイト・スト
ーリー
デビッド・リンチ
リチャード・ファーンズ
ワース
1999
米・仏
落ち着いた映画である。身体の弱った、頑固ジジイが500キロの一人旅をする。移動手段はトラ
クター
だ。”歳をとって辛いことは?”、と若者に尋ねられたとき、ジジイは”若いときのことを覚えている
こと”
と答える。フェードアウトをうまく利用した映像が美しい。秋のとうもろこし畑と、ジジイの人生が重
なる。
秀逸な作品だと思う。
80

ブルージーン・
コップ
デラン・サラフィアン
ジャン・クロード・バン
ダム
シンシア・ギブ
1990
”塀の中”が舞台だ。塀の中で、奇妙な形で人が死んでいることを捜査するために、警察官が囚
人を
装って、入獄する。アメリカの”塀の中”は本当にこんな感じなのか、にわかには信じられない。
奇妙な
死のカラクリと、その元締めを掴むバンダムの活躍を描く。原題は、”約束された死”−その方が
いい。
79
ノックオフ ツイ・ハーク
ジャン・クロード・バン
ダム
ロブ・シュナイダー
1998
タイトルの”Knock off”には、くたばる、とか、死ぬ、とか、逮捕する、というような意味があるらし
い。香
港を舞台に、模造品製造業者と警察が戦っているが、なぜ戦っているのか、今イチよくわからな
い。と
にかく、ハリウッド的な大仕掛けと、香港的なギャグをごちゃ混ぜにして話は進む。
78
シリアル・ラヴァ
ジェームス・ユット
ミシェル・ラロック
1998
ブラック・コメディ。ゲラゲラ笑えるというものではない。次から次へと人が死んでいく。真面目に描

ば、偶然による悲劇と言えなくもないが、徹底的にナンセンスに拘る。エンディングもその流れを
踏襲
し、見事に決めてくれる。が、しかし、ドリフターズのドタバタ劇を観ているようで、ちょっとセンス
が違う
と感じた。
77

ウェルカム・ト
ゥ・サラエボ
マイケル・ウィンター
ボトム
スティーブン・ディレイ
1997
実写を交えてに戦争中の物語が淡々と進行する。なぜ戦争しているのか、といった説明はない。
事実
としての戦争がそこには存在する。その中でジャーナリスト達が、スクープ合戦を展開する。本当
に伝
えるべきことは何なのか、一人の人間として出来ることは何なのか、彼がとった行動は?−多く
の被
害者がいる中で特定の被害者に救いの手を差しのべることの是非が問われているのかもしれな
い。
76


ミュージック・フ
ロム・ア
ナザー・ルーム
チャーリー・ピーター

ジュード・ロウ
グレッチェン・モル
ジェニファー・ティリー
1998
会話が楽しい。”Have a nice day”と言われ、"Too late”と答えるのを初めて聞いた。恋の駆け
引きで
コインが登場する−”Heads or tails”(表か裏か)。このやり取りも楽しい。男がコインを投げたと
きの女
の答え、ラストで女がコインを投げたときの男の答え、どちらもオシャレである。ほのぼの系のラブ
スト
ーリーは結構お気に入りだ
75


スリング・ブレイ
ビリー・ボブ・ソーン
トン(兼)
ルーカス・ブラック
1996
変に小難しくて、”高尚な”映画が多いなかで、わかりやすさで◎。ちょうど、よい頃合に結末が
自然と
見えてきて、予想通りの展開となる。キリスト教が底流にあり、”聖書を読んだ。わかるところもあ
るけ
ど、わからないところもある”なんてセリフがあったり、洗礼シーン(川で”身体”を洗ってる!)が
あった
りする。日々の生活の中に根付いている宗教を知らない日本人は幸なのか、不幸なのか。。。
74

I LOVE ペッカ
ジョン・ウォーターズ
エドワード・ファーロン
クリスティーナ・リッチ
1998
ボルチモアに住む写真小僧のPecker(隠語で男性下腹部という意味があるらしい)がニューヨー
クの
スノッブな人々に大うけし、有名になってしまう。ボルチモアって町はかなりの(悪い意味ではな
く)田
舎として描かれている。NYの美術館での展示要請を拒否したペッカーは、ボルチモアに見に来
い、と
言う。NYからハイソな人々が貸切バスに乗ってやってくる・・・ボルチモア、万歳って感じか。
73


パパとマチルダ スティーブン・マー
チン(兼)
ガブリエル・バーン
1994
原題は”A Simple Twist of  Fate”である。”パパ”はちょっと哀しい過去を持つ。”マチルダ”は
偶然、
そんなパパの養女になった。ほのぼの系でちょっと退屈かなぁ、と思っていたら、コメディタッチ
と、シリ
アスシーン(裁判)が上手く織り交ぜてあり、いい映画だと思う。子供にとっての幸せに最も影響
を及
ぼすのは、親の財力か? 否と言うのは簡単だけど・・・ 
72


ランドリー 森淳一
窪塚洋介
小雪
内藤剛志
2001
日本
ほのぼの系。ちょっと頭の弱いテルと人生に疲れている水絵と、ハトの飛ばし屋のサリーの心の

流。1人ではどうしようもないけど、2人ならなんとかなるーという相乗効果。お店でテルが壊して
しまっ
た高額の置物に気づいたとき、水絵がしたこと−わかるような気もする。何かを守るためには何
かを失
うこともある。
71

グリフターズ 
詐欺師たち
スティーブン・フリア
ーズ
アンジェリカ・ヒュー
ストン
ジョン・キューザック
1990
華麗なる詐欺の世界を見ることができると思いきや、1人の男とその女、男の母親という三人の
詐欺
師の物語だ。とっても凝った映画だ。冒頭の三分割された画面はちょっと驚き。途中のコメディタ
ッチの
詐欺シーンもちょっと驚き。人が死んじゃうのも意外−アンジェリカ・ヒューストンというおばさんが
格好
いい。
70

ウワサの真相 バリー・レビンソン
ダスティン・ホフマン
ロバート・デニーロ
1997
政治コメディ。ブラックだ。メディアが発達して、ウソがバレ易くなっている反面、ウソをつき易くなっ
てい
る。大統領のスキャンダルを揉み消すために、二人の男があれやこれやと画策する。これをあり
得な
いと笑い飛ばすことができる人はいないだろう。情報を操っている人の思いのままという世の中
になり
つつある・・・
69
Stereo Future 中野裕之
永瀬正敏
桃生亜希子 
2001
日本 
「今の私達や地球には明るい未来と暗い未来とが同時に存在している。だったら明るい未来を選
択す
るためにできることからはじめよう」というのが監督の直球メッセージらしい。だから、環境問題を
テーマ
のひとつに取り上げているのか・・・映像はきれい。話はちょっと説教くさいところが感じられる。 
 
68

反則王 キム・ジウン
ソン・ガンホ
チャン・ジニョン 
2000
韓 
韓国のコメディタッチの人情物語。結構面白い。ダメダメ銀行員の主人公がなにを思ったか、上
司を”
けんか”でやっつけようと頑張る。夜の姿はだんだんとは変身していく−ジギルとハイドを夜と昼
で分け
る生活が始まる。エンディングで上司をやっつけることができるのか否か−これは予想外の結末
だ。 
 
67

マンハッタン花
物語
マイケル・ゴールデン
バーグ
クリスチャン・スレー
ター
メアリー・スチュアー
ト・マスターソン
1996
若くして副社長に大抜擢された女性が、花屋の主人と恋に落ちる。彼もまた、証券会社で若くし
て出
世したという経歴を持つが、今はそういうビジネスの世界からは足を洗って、”笑顔に接する仕
事”をし
ている。という設定は、お気に入りだったのだが、ストーリーはそういう背景をあまり考慮しない。
ちょっ
と残念。
66

月の輝く夜に ノーマン・ジェイソン
シェール
ニコラス・ケイジ
1987
番組紹介では、ロマティック・コメディとなっていたような気がするが、ニコラス・ケイジの演技はコ
メディ
ではないし、彼の笑顔は最後に一回だけである。そのシリアスさと、主人公(37歳未亡人)を取
り巻く
家族達の滑稽さのアンバランスがなんとも言えない。
65

エド・ウッド ティム・バートン
ジョニー・デップ
マーティン・ランド
1994
実在したエドワード・ウッドという映画監督(史上最低と呼ばれたらしい)をモデルにした作品。映
画を
撮る情熱だけは人一倍だ。プロデューサであり、脚本家あり、監督であり俳優。ルゴシというこれ
また
実在したらしいかつてのスターを担ぎ出して、映画を作るが評判は悪い。でも本人は幸せそう
だ。そし
て、その周りの人も概して楽しそうだ・・
64


テルマ&ルイー
リドリー・スコット
スーザン・サランドン
ジーナ・デイビス
ハーベイ・カイテル
1991
これは楽しめる映画だ。ドンパチ系とは違ったスリルがある。普通の女性が普に息抜き旅行に出
かけ
たはずが、ひょんなことから警察に追われるはめに遭う。弾みから始まり、だんだんと確信犯に
変わっ
ていく。弾みの設定もうまいし、エンディングも強引でよい。
63
マグノリア ポール.T.アンダー
ソン
トム・クルーズ
ジェイソン・ロバーズ
1999
登場人物が多く難解なところがある。10数人の準主人公が次から次へと登場しては、それぞれ
のス
トーリを形成していく。一部はだんだんと収斂していくが、最後まで独立している(と思われる)と
ころも
ある。ちなみに、過去の天才少年、現在の天才少年、人のいいおまわりさん、薬物に溺れるおね
えさ
ん、死にかけの富豪、その介護人、その妻、その子供で怪しい宗教家、名物TV司会者達が登
場す
る。
62
ロスト・イン・ス
ペース
スティーブン・ホプキ
ンス
ウィリアム・ハート
ゲイリー・オールドマ
1998
お子様向け、SF娯楽大作。宇宙空間で迷子になる家族。なんで、家族なのか、という設定にち
ょっと
無理があるけど、家族愛がテーマのひとつになっているので仕方がない。そこに、紛れ込んだ裏
切り
医師(この設定も強引だ)が家族を引っかき回す。細部には拘らずに、グラフィック映像を楽しむに
はい
いかもしれない。
61
乱気流タービュ
ランス
ロバート・バトラー
ローレン・ホリー
レイ・リオッタ
1997
米画に多いパターンだ。ジェット旅客機のハイジャック。犯人との格闘。娯楽映画の細部にゴチャ
ゴチ
ャ文句を言うのは筋違いだが、現実の世界での空想物語になっている。いくらなんでも素人が操
縦し
てジャンボ機を着陸させることはできないだろうなぁ。そんなに簡単なら、パイロット要らないもん
な。
60
シクロ トラン・アン・ユン
トニー・レオン
1995
仏・香

ベトナ
ヤクザ屋さんのトニー・レオンはほとんどしゃべらない。全体的に、言葉のとても少ない映画だ。
ただ
し、映像は凝っている。原色をこれでもか、と使ってみたり、カメラを不規則に動かしてみたり(酔
いそう
になる)・・。話としてはかなり暗い。シクロ乗りの少年がヤクザ稼業に手を染める。昔も今もいい
ことな
んて何もない。
59

オール・アバウ
ト・マイ・
マザー
ペドロ・アルモドバル
セシリア・ロス
1999
仏・ス
ペイン
また暗いフランス映画かと思いきや、実はスペイン語だった(と思う)。へこたれるということを知ら
ない”
お母さん”が主人公だ。実際にはへこたれているんだと思うけど、母は強しである。ドンパチでは
なく、
あまりにも簡単に人が死んでしまうのは安易な感じがしないでもない。
58

レイン オキサイド・バン
パワリット・モング
コンビッシュト
2000
タイ
なんだかわからないけどイイ。口の聞けない主人公は人殺し稼業だ。そこに、女をからませて、
人情モ
ノに仕立てていく。香港映画にありがちなパターンだが、しゃべれないという設定が他のドンパチ
には
ない印象を与える。そして、ラストシーンが凄まじい。
57
背信の行方 マシュー・ウォーカス
ニック・ノルティ
ジェフ・ブリッジズ
1999
英米
どこかで見たことあるなぁ、と思ったら、No53の主人公リボウスキを演じていたジェフ・ブリッジズ
がここ
では紳士を演じていた。ただし、この紳士、昔はヤバイことをやっていた。そのときの仲間はいま
だに
過去と決別できないでいた。過去と決別するためには、今とも決別しなければならない・・・
56
ダブルタップ ロー・チーリョン
レスリー・チャン
アレックス・フォン
2000
香港
娯楽映画。レスリー・チャンという香港のスターが出ているだけ、という感じ。射撃の名手である
主人公
が、ある事件をきっかけに、狂ってしまう。狂った主人公と警察との大掛かりなドンパチが始ま
る・・・そ
れだけ。
55

誘拐犯 クリストファー・マック
ァリー
ベニチオ・デル・トロ
ライアン・フィリップ
2000
単なるチンピラかと思っていたら、この誘拐犯二人は並じゃない。射撃の腕前も超一流、作戦も
巧妙。
諦めたかと思わせておいて、颯爽と丘の上から登場するところは妙に格好いい。ただし、誘拐さ
れた
妊婦を取り巻く人間関係はよくわからない。無駄に複雑にしている気がする。ドンパチとニヒルな
主人
公達を楽しむ映画だ。
54
ビッグ・リボウ
スキ
ジョエル・コーエン
ジェフ・ブリッジズ
ジョン・グッドマン
1998
風来坊のリボウスキがこれまた風来坊の、ベトナム帰りの仲間と風来坊らしく暮らしている。どう
いうわ
けか、ボウリングが共通の趣味である。ボウリングで憂さ晴らし。この人達はいったいどこからお
金をも
らっているのだろう、と話の筋とは全く関係のないことを考え続けた。軍人の恩給でもあるのかし
らん。
53

カオス 中田秀夫
萩原聖人
中谷美紀
1999
日本
こういう映画は割と、お気に入りだ。スピーディな展開で、裏をかくようなストーリーがところどころ
に埋
め込んである。便利屋を利用して、偽装誘拐を演じる。それは、なぜか−ここから物語は始まる。
エン
ディングは不可解だ。どうして、湖に飛び込まなくてはならなかったのか−ちっとも理解できな
い。映画
制作者はエンディングに懲りすぎなんじゃないかしらん。凡人には?である。
52

ボーイズ・ライフ マイケル・K・ジョーン

ロバート・デ・ニーロ
レオナルド・ディカプ
リオ
エレン・バーキン
1993
10年前の映画だけあって、レオナルド・ディカプリオ君が若い、幼い。実話をもとにしたストーリら
しい。
苦しいところからは、タイミングを見計らって、天を味方につけて逃げ出すに限る。オフクロさんと
彼は、
幾度となく、”逃げ出す”。この映画は高校進学前で終わるが。その後、彼は高校を中退し、ベト
ナム
戦争に行って、モノ書きの世界で大成し、今は大学教授になっているそうだ。数奇な人生であ
る。
51
CURE/キュ
黒沢清
役所広司
萩原聖人
1997
日本
この映画に登場する狂人は伝染性の狂人だ。他人の潜在意識を顕在化させ、それを行動に移さ
せて
しまう。日常生活の中で、人はさまざまな抑圧を受けている。その捌け口を持たない多くの人は
それを
意思の力で、押さえ込む。そして、潜在意識となる。これが爆発すると、世の中はメチャメチャに
なる、
というような展開だが、面白くなかった(^ ^;
50

スリーピー・ホ
ロウ
ティム・バートン
ジョニー・デップ
クリスチーナ・リッ
1999
主演のジョニー・デップは、No47「ブレイブ」の監督、脚本、主演をしている。が、同一人物だとは
全く気
づかなかった。こちらでは、1800年頃の科学捜査官を演じている。西洋版”八つ墓村”って感じ
−た
だし、日本版と違って本物の幽霊(?)が登場する。ストーリーもどんでん返しがあってなかなか
よい。
結構、気に入った。
49

運命の絆 R・アラン・アッカーマ

スーザン・サランドン
サム・シェパード
1994
7人の子宝に恵まれた母親はいつまでたっても子供が心配で心配でしょうがない。ある日、予知

(Precognition Dream)によって、7人のうちのひとりに大変なことが起きる/起きたと騒ぎ出す。
この
母親は、cranky(映画では短気と訳していた)で、なんとも大袈裟であるが、一生懸命で憎めな
い。予
知夢は正夢だったのだろうか・・・
48
ブレイブ ジョニー・デップ
マーロン・ブランド
1997
”勇敢(brave)”がテーマのようである。家族を守るため、地域を守るため、男は決意する。半端
な決
意ではない。が、しかし、日本人にはその設定にリアリティが感じられなく、残念ながら、その”勇

さ”が今ひとつ理解できない。アメリカでは、このような人身供与(売買)があったのだろう。日本
でもき
っと似たようなことはあったはずだが・・・・オープンにはならない。
47

星のレストラン 富岡忠文
石橋蓮司
鳥羽潤
2002
日本
No39と同様に弘兼憲史氏の原作。今は、みすぼらしい年金生活者である主人公は、実は伝説
のシェ
フだった。30年前のフランスでの修行中に出会った恋人を思い続けている。彼女と再会できるの
か、
どんな再会をするのか−原作者の技が光る。この映画で、男の名前「マリオ」と女の名前「ナオ
ミ」は
日仏共通だと知った。
46
タンゴ バトリス・ルコント
フィリップ・ノワレ
リシャール・ボーラ
ンジェ
1992
またしても、暗い。フランス映画である。冒頭の自家用飛行機で、妻を連れ出す妻を信じられない
男の
シーンは衝撃的。釣り糸のない竿で魚釣りをする男は情けない。信じられない妻を殺そうとする
男も情
けない。情けない男たちの情けない話である。ただ、ラストではホッとさせられる。最初と最後は
いい。
45

オータム・イン・
ニューヨーク
ジョアン・チェン
リチャード・ギア
ウィノナ・ライダー
2000
いつものようにプレーボーイの彼は言う。”この先、君を悲しませたくないから言っておくが君との
関係
に未来はない。”、すると、彼女は”この先、あなたを悲しませたくないから、・・・”と言って、ある
事情を
告白する。”希望を失いかけて”、妬けを起こす彼に対して、”私はずっと、爪の先ほどの希望を頼
りに
生きている”という彼女の言葉はずっしりと重く響く。
44


フィラデルフィア ジョナサン・デミ
トム・ハンクス
デンゼル・ワシント
1993
トム・ハンクスの演技には惚れ惚れする。エイズ先進国のアメリカでも十年前には、まだまだ同
性愛、
そしてエイズに対する偏見に満ち溢れていたようだ。優秀な若手弁護士が突然、勤務先の法律
事務
所から解雇される。その理由がエイズか否かの裁判が行われるが、その間にも、彼の病状は進
行す
る。
43

嘘の心 クロード・シャブロル
サンドリーヌ・ボネー

ジャック・ガンブラン
1999
やっぱり、暗い。思い込みかもしれないが、タダで観るフランスの映画は音も、絵も、話も全体的
に暗
い。片田舎で発生した殺人事件をきっかけにその小さな町は、噂で溢れる。当然、いい噂などな
い。
最も近い人までも疑いの眼で見てしまう。こういうところが”村社会”の嫌なところだ。
42

奴らに深き眠り
ビル・デューク
ローレンス・フィッシ
ュバーン
アンディ・ガルシア
1997
1930年代のニューヨークのハーレム(Harlem)が舞台だ。この時代は不況で、この黒人街に住
む黒
人達は”ナンバーズ”という賭け事に明け暮れていたという。この胴元達による縄張り争いを描い
てい
る。こういうヤクザ系映画を観ていると、情に厚いから、非情になることができるんだろうと思う。
そもそ
も無関心ではこんなに”熱く”はなれない。
41

真夏の出来事 ジム・ウィルソン
ハーヴェイ・カイテル
キャメロン・ディアス
1996
トリッキーな展開だ。彼はなぜ死んだのか? とりあえず、直接、手を下した者はいない。死因
は、心
臓発作か、薬品中毒か。原因究明のないまま、ストーリはどんどん展開していく。すると、証拠も
どん
どん消滅していく。誰を信じていいのか、全くわからなくなってしまう。こういう場合、往々にして誰
も悪
くないのだ。思い込みは危険である。
40

同総会星団 山川元
神田正輝
原日出子
2002
日本
コミックに連載されている弘兼憲史氏の原作。25年ぶりに再会した高校の同窓生。40の大台を
越え
て、青春時代の続きを演じる。妻を交通事故でなくした子連れの男と、夫と離婚した子連れの
女。ほ
のぼの、癒し系のストーリ展開だ。
39
猫が行方不明 セドリック・クラピッシ

ギャランス・クラヴェ
1996
タダで観るフランスの映画はどうも暗い(No24、No26参照)。これは下町の人情劇ってところだろ
うか。
飼い猫がいなくなった主人公が、いろいろな人の力を借りて、猫を探し回る。そこには、ご近所さ
んと
の新たな出会いがある。が、しかし、映像、人物、いずれも暗い。ドタバタ劇(No37)の後だと、そ
のギ
ャップにギブアップ。
38
君さえいれば 
金枝玉葉
ピーター・チャン
レスリー・チャン
アニタ・ユン
1994
香港
原題は『She is a Man, He is a Woman』。わかりやすいタイトルである。ある女の子が事情によ
り、男
装して活躍する。どちらかというとドタバタ系。香港の町並みを観ることができるのではないかと
期待し
たが、ロケはほとんどなし、セットの中で話が進む。退屈だった。
37

季節の中で トニー・ブイ
グエン・ゴック
ヒエップドン・ズオン
1999
シクロ(自転車型人力車)乗り、元米海兵隊員、ストリートチルドレン、蓮の花摘みの4人がサイ
ゴン
で、ほんの少しだけ絡みながら、それぞれに生きる様を描く。シクロ乗りは娼婦と、元米兵は自
分の娘
と、ストリートチルドレンはその仲間と、蓮の花摘みはハンセン病の旦那様との間の、4つの話が
ほぼ
独立して展開する。面白い構成の映画である。
36
影の車 堀川とんこう
風間杜夫
原田美枝子
2002
日本
原作は松本清張である。平凡なサラリーマンである主人公が、偶然出会った昔の知り合いと恋
に落ち
る。それで終われば単なる恋愛ものということになるのだろうが、この恋をきっかけに主人公の幼
児期
のトラウマが蘇る。自分の妻、不倫相手、その子供、もちろん本人もそれぞれが不幸になってい
く。後
味はとっても悪い。
35


グッドナイト・ム
ーン
クリス・コロンバス
ジュリア・ロバーツ
スーザン・サランド
1998
ジュリア・ロバーツがいい。ビジネスの世界では一匹狼的な才能あるフォトグラファーである。そ
の彼女
が結婚相手の連れ子と心を通わせて行く様を描く。仕事と子供とどっちを選ぶのか、と雇い主に
選択を
迫られたとき、迷わず、子供(というよりも、子供の父親か)を選ぶところは痛快である。家族を大
切に
する欧米の生活様式を垣間見た気がする。
34

上海ルージュ チャン・イーモウ
コン・リー
1995
中・仏
ドンパチはほとんどないが、裏社会が舞台である。ボスの愛人と、その付き人(子供)の視線で
ヤクザ
な世界を描く。どこの国でも、このような裏社会が存在する。そこでは、計略と裏切りの連続だ。
敗者
に与えられるものは死のみである。勝者を待っているのは、次なる計略と裏切りだ。
33

スカートの翼ひ
ろげて
デビッド・リーランド
キャサリン・マコーミ
ック
レーチェル・ワイズ
1998
原題では「Land Girls」。第二次大戦中のイギリスの農村が舞台である。若い女性達は農村に
集めら
れ、食料生産に励んだらしい。日本の戦争映画は暗さばかりが強調されることが多いが、ここで
はそう
ではない。農村の青年と疎開してきた都会の女性が恋に落ちる。ただし、時代はそれを許してく
れな
い・・・・戦時中のイギリスの田舎生活を知ることができて、興味深い。
32
バロウズの妻 ゲーリー・ウォルコウ
コートニー・ラブ
K・サザーランド
ノーマン・リーダス
2000
原題では「Beat」。全く知らなかったがウィリアム・バロウズという実在した作家に関するノンフィ
クショ
ン。50年代に機械文明に反対したアメリカの若者達はビート族といい、その姿を描いたのが彼ら
しい。
機械文明反対とモルヒネがどういう関係にあるかのか理解できないが、バロウズを含め、仲間の
青年
達はそれぞれに成長していく。
31
ラブ・セレナー
シャーリー・バレット
ミランダ・オットー
ジョージ・シェブソ
1996
しぶいケンおじさんを巡る姉妹の争いをコメディタッチで描く。かといって、コメディではない。笑え
ない
結末が用意されているが、なんとなく予想がつく。「魚」がいろんな形で登場するのもよくわから
ない。
姉妹の趣味は釣り。ケンの家には大きな魚の剥製。ケンの顔にはエラ(?)。人を食べる鯉・・・
凡人に
は意味不明である。
30

LOVE SONG 佐藤信介
伊藤英明
仲間由紀恵
2001
日本
映画紹介でラブストーリーとなっていたが、内容は夢を追いかけ、いったんは実現したものの、そ
の後
夢破れた青年(♂)が立ち直っていく姿を描いている。♀の役割は♂の恋人ではなく、♂を遠くか
ら見
つめる視線の提供である。若者向けの映画かと思いきや、夢を忘れた中高年へのメッセージとも
思え
る。割と気に入った。
29
阪本順治
藤山直美
1999
日本
全編を通して暗い。タイトルからして暗い。映像もなんとなく暗い。有名な俳優(佐藤浩市、豊川
悦司、
中村勘九郎、大楠道代等)が結構たくさん出演しているが、主人公は藤山直美一人である。ネク
ラの
主人公がキレてしまって、実妹と争うところから物語は始まる。あとはひたすら逃げまくる。その
過程で
色々な人との出会いがあり、自分を見つめ直すという設定だ。
28

LOVEシーズン リチャード・ラング
シャーリー・マクレー

アンソニー・ホプキン
1980
軽いノリで、”愛”と”恋”という重いテーマを扱う。ウィットに富んだ会話は洋画によくあるパター
ン。そ
の場面を観てないと、わからないかもしれないが、[♀]”(家の)中に戻って”、[♂]”何か要る
の?”、
[♀]”プライバシー”、こういう会話はお気に入りだ。ストーリーとしてはダブル不倫物語なのだ
が、全
編を通して、明るい。どちらかと言うと爽やかでさえある。
27
憎しみ マチュー・カソビッツ
バンサン・カッセル
1995
No24の「カフェオレ」と同じ監督の作品。同じ俳優が幾人か登場する。自堕落な生活を送るパリ
の若
者達。有り余ったエネルギーを公権力(ポリス)に向けて、憂さ晴らしをするが、彼らは彼らなりに
この
ままではダメだと日々感じながら生活している。”大事なのは、降下ではなくて着地だ”−過程よ
りも
結果が大切ということか。
26
HammerHead 高橋栄樹
武田真治
岡元夕紀子
2002
日本
BS−iが中心となってデジタルハイビジョンで撮影した映画。ブツを盗んだ主人公を、ヤクザみた
いな
連中が追いかけるというありきたりの展開で、内容はつまらない。CGを駆使して、映像の美しさ
を追
求している点は評価できるが、試作って感じか。
25
カフェオレ マチュー・カソビッツ
ユベール・クンデ
1993
人種差別にうるさいはずのヨーロッパでは、相当きつい言い回しをする。黒人に対して、”ジャン
グルに
帰れ”とか、黒人が黒人に、”彼は真っ黒”とか言う。隠すよりも、オープンにした方が、陰湿な差
別や
偏見がなくなるということか。一人の黒人女性(あまり黒くない)を巡って、ユダヤ人(白人)と真っ
黒な
黒人の三角関係の中で、子供が出来た。どっちの子供か・・・
24

冷たい月を抱く
ハロルド・ベッカー
ニコール・キッドマン
アレック・ボールドウ
ィン
1993
原題はMALICE(悪意)である。邦題は”冷たい月を抱く女”−いったい、どこからこのタイトルを
思いつ
いたのか? 保険金詐欺にまつわるサスペンス。悪女役のニコール・キッドマンがいい。騙し合
いの
末、最後に笑うのは・・・笑う人などいないのだ。それが、騙し合いというものだ。
23


パンチライン デヴィット・セルツア

サリー・フィールド
トム・ハンクス
1988
パンチラインとはジョークの落しどころという意味らしい。人を笑わせることが大好きな芸人達が一
晩1
5ドルで毎夜、舞台に立っている。その舞台をガス・ステーションという。ガス(gas)には冗談とい
う意味
もあり、人が笑いで活力を得るところという最高のネーミングだ。若きトム・ハンクスの芸達者ぶり
には
舌を巻く。
22

L.A.コンフィデン
シャル
カーティス・ハンソン
ラッセル・クロウ
キム・ベイシンガー
1997
別に暇ではないが、暇つぶしにはいい映画である。娯楽映画はドンパチが多い。邦画では、さし
ずめ
任侠モノ(ヤクザ映画)といった感じ。洋画では、マフィア絡みの警察の不正というテーマがやた
らに多
い。どうして、ドンパチが受けるのかーやっぱり、映画は非日常の世界にいざなってくれるという
のが大
きな魅力なのだろう。
21

バグダッド・カフ
パーシニア・アドロン
マリアンネ・ゼゲブレ
ヒト 
1987
西独
製作は西ドイツで主人公はドイツ人。ただし、舞台はアメリカの砂漠の中と街”バグダッド
(Bagdad)”。
アメリカの田舎で一人取り残されたドイツ人女性が、そのカフェの仲間達と交流していく様を描く。
主人
公ジャスミンはドイツではどのような暮らしをしていたのだろうか?−そこで自分を発見したのだ
ろう
か。テーマ曲「コーリング・ユー」もいい。  
20

クッキー・フォー
チュン
ロバート・アルトマン
グレス・クローズ
ジュリアン・ムーア
 
1999
なかなか楽しめる映画である。解説文によるとブラック・コメディだそうだ。何が”ブラック”かという
と、
死とか家系とか家族といった少々重いテーマを扱っているところだろうか。どこが”コメディ”かとい
うと、
洋画にありがちな会話の面白さと一部の登場人物の突飛な行動だろうか。
18


キャラバン エリック・ヴァリ
ツェリン・ロンドゥップ
1999
仏・ネ
パー
ル・
英・ス
イス
ヒマラヤの奥地から岩塩を運んで、穀物と交換するキャラバン隊がいたらしい。ヤクを使って、ひ
たすら
山を越えて、里までを往復する。ストーリーの展開自体は予想通りで、特にひねったところはない
が、
全編を流れるネパール音楽(仏教曲?)と荒涼としたヒマラヤの映像に引き込まれてしまったた。
  
 
18

女学生の友 篠原哲雄
山崎努
2002
日本
柳美里の原作がいい。”女学生”ではなく、正確には”女子高生”だ。定年退職後の元会社人間
が、
食べて寝るだけの生活を送っている。一方、街には、刹那的ではあれイキイキと生きている女子
高生
がいる。この一見、交わりがないようなコンビネーションにおけるコミュニケーションを描く。イキイ
キして
ても闇はあり、闇だらけのようでも光がある。
17
ぼくのバラ色の
人生
アラン・ベルリネード
ジョルジュ・デュフレ
1997
仏・ベ
ルギ
ー・英
退屈で居眠りしてしまった(^ ^; 主人公は幼い少年。少年には大きな悩みがある。それは、自
分の”
性”に関するもので、自分は男ではなく、女だと言う。女らしく生きたいと言う。当然、両親を含め
た周り
の人は混乱するのだが、エンディングで映画のタイトルの意味がわかる。 やりたいようにやる、と
いう
のがバラ色か、そうかもしれないし、そうではないかもしれない。
16

シックスティナ
イン
ペンエーグ・ラッタナ
ルアーン
ラリター・パンヨーパ
ート
1999
タイ
エンディングが不可解だ。なぜ?−そういう風に思わせるところに製作者の意図があるのかもし
れな
い。普通のOLがリストラされるところから物語は始まる。そして、偶然が重なって、ドンパチとな
る。偶
然が偶然を呼んで、とんでもないことになってしまうことはあり得ない話ではない。原作は”贈り
物の裏
にはムチがある”というような表題らしい。       
15
トレイン・スポッ
ティング
ダニー・ボイル
ユアン・マクレガー
1993
麻薬に依存して生きている若者を描く。スコットランドでは処方箋があれば、薬局で簡単に麻薬
が手に
入るようで、ガン患者の痛み止めのモルヒネ等を処方箋を偽造して手に入れる。麻薬の座薬(そ
んな
ものがあるんだ?!)を利用したあとのトイレのシーンと、ラリったあとの脱糞のシーンは強烈だ。
キモ
チ悪い。それだけでも、クスリは勘弁して欲しいと思わせる。
14


ホワイトアウト 若松節朗
織田裕二
2000
日本
奇想天外な話ながら、それなりのリアリティもあったりして、真保裕一の原作がとてもいい。イント
ロで
の遭難者救助のエピソードを巧に利用しているところ等がうまい。黒部ダムの貯水量が6億トンと
いう
数字をなんとなく覚えてしまったが、6億トンと言われてもその巨大さがピントこないのが残念だ。
13

宋家の三姉妹 メイベル・チャン
マギー・チャン
1997
香港・
日本
「一人は富を愛し、一人は権力を愛し、一人は祖国を愛した」と言われる宋家の三姉妹の波乱の
人生
を描く。有名な話らしいが、全く知らなかった(^ ^; 三人は孔子の末裔の大富豪、蒋介石、孫文の
妻と
なった。若干スケールは落ちるが、浅井長政の三姉妹、茶々(秀頼の実母)、初(京極高次の正
室)、
お江(秀忠の正室)を思い出した。たまたまなのか、育ちに起因するのか?
12


クライング・ゲー
ニール・ジョーダン
スティーブン・レイ
1992
性(さが)と性(肉体上の男女の区別)がテーマになっているよくできた映画だ。気づいたら、恋人
が同
性だったということは小説の世界ではよくある話だが、そこに性(さが)を絡めることによってユニ
ークな
ストーリとなっている。サソリとカエルの話が象徴的だ。サソリの性(さが)は刺すことである。
11

スライディング・
ドア
ピーター・ホーウィット
グウィネス・パルトロ
1997
英・米
”もし、あのとき・・・”ということは誰しも思うことだが、普通は後戻りできない。ひとつの人生しか
生きら
れない。この映画では、スライディング・ドア(地下鉄の自動扉)の開閉のタイミングによって、ふ
たつの
ストーリが同時進行する。どっちがよかった、ということはない。選んだ/選ばれた道を進むしか
ないっ
てことなのだろう。
10
東京日和 竹中直人
中山美穂
1997
日本
全編にわたって、”のほほん”としている。山もなければ谷もない。”癒し”をテーマにしているの
かもし
れないが、残念ながらあまり”癒された”気分にはならなかった。写真集からヒントを得て、映像
化した
らしいが、”のほほん”を伝えるメディアとしては静止画の方がよいのかもしれない。
9
シーズ・ソー・ラ
ブリー
ニック・カサヴェテス
ショーン・ペン
1997
米・仏
二人は恋人同士だった。精神を病んで入院し、10年後に社会復帰した男と、別の男と結ばれ、
子供
にも恵まれ、一見幸せに暮らしている女・・・10年後に再会したとき、二人には何が起こるのか。
10年
という歳月と女の今の暮らしを考えると、どうしてもリアリティが感じられない。が、しかし、そうい
うケー
スもあるのだろう。
8

まあだだよ 黒澤明
松村達雄
1993
日本
内田百聞(ひゃっけん)の随筆を黒澤監督が映画化したもの。師と弟子達の心の交流を描く。こ
の師匠
のキャラクターが実に面白い。黒澤監督はある製作発表会で、”なぜ、映画を撮るのですか?”と
質問
されて、”言葉で答えられれば、映画など撮らない”と答えたそうだ。さすが世界の名監督。
7


シャイン スコット・ヒックス
ジェフリー・ラッシュ
1995
オース
トラリ
David Helfgottという実在のピアニストの半生を描く。ラフマニノフ(作曲家)の楽曲と父親の呪縛
と戦
う”狂った”ピアニストをJ.ラッシュが見事に演じている−見事すぎて彼の発音は全く聞き取れな
い。
英語であるということさえ、注意深く聞かないとわからない(情けない)。狂気の音楽とか呼ばれ
ている
らしいヘルフゴットのCDを買ってみようと思う。 
6
秘密 滝田洋二郎
広末涼子
1999
日本
東野圭吾の原作を先に読んだのは失敗。原作と違うところも多い(原作では主人公は小学生か
らスタ
ートするが、映画では大学生)が、この作品はストーリが命であるため、ネタを知ってるとイマイチ
だ(^
^;
5

顔のない天使 メル・ギブソン 1993
アメリ
訳ありの退職教師と、近所の子供の交流を描く。ストーリとしてはありがちな内容だが、退屈させ

い。メル・ギブソンの顔の右半分は火傷でただれているが、髪の毛は全部生えているのが気に
なって
しょうがなかった−きっと、植毛したということなのだろう(笑)。
4


ワンス・アポン・
ア・タイム(ある
時一度)
バンディト・リッタコン
チンタラー・スカパット
1995
タイ
タイの映画を観たのはたぶん初めてだ。香港の黒社会映画に通じるところがあるものの、アクシ
ョンを
見せる映画ではない。キャリアウーマンの母親と子煩悩な父親の確執と、ストリートチルドレンの
生き
様を描く。感情移入しやすい映画だ。それにしても、邦題はもう少し工夫できなかったのだろう(^
^;
3
世界中がアイ・
ラブ・ユー
ウディ・アレン
ジュリア・ロバーツ
1996
アメリ
コメディタッチのミュージカル。お気軽映画としては楽しめる。ウディ・アレンの話術は絶妙であ
る。とは
書いてみたものの、彼のことは全然知らなかったし、途中で寝ちゃってた。歌のところは退屈・・・
ミュー
ジカルの面白さはまだわからない。どうやら有名人のようなので、ウディ・アレンという俳優を覚え
てお
こうと思う。
2
ザ・セル ターセム
ジェニファー・ロペ
2000
アメリ
狂った殺人鬼の心に侵入し、その闇を暴くというSF映画。かなりグロテスクな描写の連続であ
る。か
なりキモチ悪くさせてくれる。心理状態を映像化する(脳内描写)と、こんな感じか−というひとつ
の試
作であるような気がする。うまいのか下手なのかわからないが、原色が印象的な映像である。
1